今週の総括  新高値に迫る日経平均 コロナ後を睨む動きも

今週の総括  新高値に迫る日経平均 コロナ後を睨む動きも

本日2月5日日経平均は28779円19銭437.24円高と、ほぼ本日の高値に近い形で終了し、先週末に比べて約1115円上昇と強い動きになった。先週末までの好決算の半導体関連株中心の上昇相場とは違い、今週は今まで負け組と思われていた景気敏感株、バリユー株と言われる株式の上昇が目立った。具体的にはアドバンテスト、東京エレクトロン、日本電産等の業績好調株はさほど動かず、代わりに赤字決算を出したJAL、全日空に加え銀行、証券等の低PBR銘柄で株価が出遅れている銘柄の上昇がみられた。

ただ今週の上昇相場の中でサプライズ決算を出し、相場上昇の立役者ともなったともいえるのはソニー(6758)と思われる。ある程度業績はいいだろうと予想はしていたが、決算発表の数字を見たときに思わず笑ってしまうくらいの、素晴らしい決算だった。2021年3月期の最終的な連結純利益が前期比86%増の1兆850億円と発表されたが従来予想を2850億も上回るものだった。ソニーといえば以前は音響中心の会社でウォークマン、TⅤ事業というイメージが強かったが現在はエンターテイメント、ゲーム、モバイル、半導体等6つの主な事業から成り立ち、多角的な経営形態になっている。今年の市場の大きなテーマである「脱炭素ゼロカーボン」の観点から、電気自動車「vision‐S」という試作車がオーストリアの公道で実験走行する様子を吉田社長が先月の12日に公表している。(1月17日の日経参照)2013年には株価が1000円を下回り、不況にあえいでいた頃のソニーとは見違える姿になったのは、一つには前社長の平井さんの力もあるが、平井社長在任当時CFO(最高財務担当者)をしていた現社長の吉田社長の力量によるところがかなり大きいのではと思っている。

CFOをしていた頃から吉田さんの戦略はかなり評価されその当時から注目されていたが、確か吉田さん社長就任のニュースが伝わったとき、株価がそれにより少し上昇したと記憶している。消費者ニーズやチームワークなど人への意識が根底にあり、今後はエンタメ軸への転換を鮮明にし、成長戦略のキ‐ワ‐ドを「コミユニティー」としたソニーは4月に社名を「ソニーグループ」に変更する。2021年3月期第3四半期の決算短信によると1株利益867.17銭でありPERはざっと14.3倍程度である。日経採用平均24倍前後と比べるとまだ割安と言えます。ソニーは個人投資家にも人気のある銘柄であり、個人投資家の投資家心理にかなりよいインパクトを与えたのではないでしょうか。

なお、今後ソフトバンクG(9984)、トヨタ(7203)の決算がまだ控えていますが、来週今年の高値1月14日のザラバに付けた28979円53銭に挑戦する動きが期待されます。

*記事は筆者の見方を書いたものであり結果をお約束するものではありません。