2021年株式市場はどうなるか

2021年株式市場はどうなるか

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。例年とは異なり、全国各地人出も少なく、活気のない年末年始でしたがそのような世の中の動きとは逆に、日本国内の株式市場は想像以上に強い滑り出しを見せています。本日14日引け値で28698.26円前日比241円67銭高と引けで少しだれたものの強い形で終わりました。先週今年最初の懸念事項であったアメリカジョージア州連邦議会の上院2議席を巡る投票も民主党が2議席を取り、事実上ハリス次期副大統領の票も加えると上院の多数派を維持できることになったニュースが伝えられて以降、日経の上昇の勢いが加速しました。国内のニュースにおいては、四半期決算発表で主力銘柄の中ではいつも一番早く発表し、市場の先行指標と位置付けられている安川電機(6506)が12日に決算発表しました。内容はコロナ下においても2021年2月期連結純利益は前期比16%増の180億円、純利益は従来予想から25億円引き上げておりこれも日本株上昇に勢いをつけたと言えます。

特に、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)等の半導体関連、今年の物色の柱ともいえる「脱炭素関連」の岩谷産業(8088)や川崎重工(7012)は高値更新、水素関連の三菱化工機(6331)も8日に昨年12月の高値更新して以来特に強い動きになっている銘柄も散見されます。なお13日の引けで、米ドルべースでのドル建て日経平均が274.46$とバブル相場以来31年ぶりの最高値を更新しました。ドル建て日経平均は海外投資家が日本株の値動きを見る際に参考にしている指標(14日日経より)でありこの点は今後注目しておくべきところです。ちなみに1989年12月27日の高値は273.07$、この時の円相場は142円で(現在103円台)した。また13日に東京商工リサーチが発表した2020年の企業倒産件数が2年ぶりに減少し、1990年以来の低水準になったと発表したが、政府の資金繰り支援があったとはいえ、この統計には少し驚かされました。

ただコロナの状況は更に悪化し、13日までに11の都道府県に緊急事態宣言が発令される状況になり、それ以外の地域でも感染が拡大している状況になっています。そのような中で日経平均が28000円を超え29000円に迫るこの動きは想定以上に強いと言わざるおえません。

ただ注意しないといけない要因の一つは金利上昇が市場にもたらす影響です。米連邦準備委員会(FRB)は金融緩和継続との方針を示してはいるものの、バイデン政権が国債増発する可能性も論じられる中で金利の上昇する可能性も否定できなく、かつバイデン政権の富裕層に対する増税策も、当面はコロナによる景気の落ち込みを避けるため、すぐに実施するとは考えにくいものの、もしその政策を実施することになった場合堅調なハイテク関連も調整を余儀なくされる場面も今後考えられます。

2021年の株式市場を見渡すと、2020年末に主要証券会社が予想したように3万円の大台を回復する可能性は十分あると考えていますが、これはあくまでも現在有効とされているワクチンが予定どうり供給され、確かな効果があった場合です。もし供給が遅れたり、効果があまりなかったり、大きな副作用が出たり等不安要因が発生し景気回復が遅れ、東京オリンピックも中止とかなれば、仮に大台を回復したとしてもその後一度大きく下値模索ということも考えておかなくてはなりません。ただ今のところアメリカでワクチン接種が行われている中で大きな問題は発生していない模様です。

今のところ順調な滑り出しでありますので電気、情報通信、機械、脱炭素関連株等好調な銘柄に投資した投資家の方は好パフォーマンスになっていると思われますが、陸、空運、外食関連はこれだけの上昇にもかかわらず好調業種とくらべるとかなり差があり、2極化の状況は今年も継続しそうです。

あと現在の株高を演出している要因として一つ考えられるのは、コロナの状況下での株高に疑問を感じた投資家の方の空売りの買戻しがあります。11月から日経平均が24000円あたりを超えてから短期間で26000円台まで一気に上昇したのでそのあたりから空売りが相当入っていると想定されます。例えば日経平均が下がると思われた場合ベア型のETFの中に日経ダブルインバース(1357)という上場投信がありますが、この商品を買われることがあります。これは日経平均が1%下がると逆に値段は2%上昇するようにできており、信用で空売りしなくても現物を買うことによって下げの恩恵を被ることができます。ただ需給の状況によっては連動率が多少ずれたり、長期で保有すると連動率と乖離する場合もあります。14日現在ダブルインバースは450円と最安値を更新していますが注目したのはその信用買い残の多さです。1月8日現在売り残が3756761株に対し買い残が127678964株と売り残の約33倍も買い残が多い状況で、この銘柄を信用で買っているということは日経を空売りしていると同じことなので今後大量の買戻しが入ることを意味しています。信用取引は普通6か月以内に決済が必要(現物に直す現引きという方法もありますが)なので評価損を抱えながら日経が下がるのを待っている投資家の方がまだまだ多いことが想定されます。今後この銘柄の信用の取り組み状況についても注目していきたいと思います。

1月20日バイデンが大統領に就任します。株価は政策期待で買われた面もあり目先的には少しいきすぎた感もあり大統領就任という事実で多少調整してもおかしくはないと考えています。ただ先ほど述べた需給要因や今後の決算発表の内容によってはさほど調整しない可能性もあります。かつ先ほど金利の話をしましたがその状況によっては、今年1年を見た場合現在買われているグロース株が売られ、その反面売られていた景気敏感株が買われるそのような場面も想定しておく必要はあると思います。それではまた来週お会いしましょう。